代表メッセージ

 

子どもたちに何かを残せるなら、お金や物よりも「ここにずっと住んでいたい」と思えるような住環境を残したい。
そう言ったら夢だって笑われたけど、僕はきっと叶うと思っているんですよ。

株式会社クライフ 代表取締役  唐津 亮

Ryo Karatsu

 

自分の思いと業界のズレを解消するために会社を設立

賃貸仲介の会社を経て管理会社に勤めていた頃、ずっと思っていたことがあります。それは「なぜオーナーのことを第一に考えている会社が無いのだろう」ということ。たとえば仲介はオーナーのために入居者を探しますが、早く決めれば早く仲介料が貰えるわけですから、時には素性がよくわからない人でも目をつぶって入れる。もしその人が家賃を滞納したり騒音をまき散らしたりする人だったりすると、オーナーは大変です。

また管理会社にしても日本のそれは、ハウスメーカーや銀行の下請けとしてスタートした経緯があるので、設備を新しくする場合など親会社の指定するメーカーを使わなくてはならず、「もっと安くて良いものがあるのに」と思っても、それをオーナーに勧めることができないというケースが散見されます。そんな“縛り”を無くし、純粋にオーナーに忠実な仕事ができる会社をつくりたい。何の後ろ盾も保証もありませんでしたが、ただその一念でと、2012年9月に株式会社クライフを旗揚げしました。

 

めざしているのは一人一人のオーナーにとってのオンリーワンとなること

私がめざしているのは、オーナーお一人お一人にとってのオンリーワンとなれる賃貸経営管理(プロパティマネジメント)の会社。オーナーの抱える悩みは千差万別であるのにもかかわらず、問題解決のための処方箋はこれまであまりにも選択肢がなさすぎました。空室対策一つとっても、家賃の値下げか仲介の営業マンへのバックフィーの上積みしかないというのでは、オーナーのよき相談相手とは言い難い。たとえば同じ風邪の症状でも、優れた医師ならばその人の体力やQOL(クォリティ・オブ・ライフ)に鑑みて治療法を決定するように、その方の生活と悩みに合った解決法を、時に応じて提供し、ともに闘い、より良い結果へと導くのが、私たちプロパティマネージャーの仕事だと思っています。

 

 

 

ハード対策からソフトコンテンツの充実が求められる時代へ

有難いことにクライフを設立してから1年足らずで管理戸数は1,000戸を超えました。通常5年はかかると言われている世界なので、私たちのめざしていることへの潜在的な需要が育っていたのだなあと意を強くしています。でも私は管理戸数をどんどん増やして会社を大きくしたいとは思っていません。そのことによって管理の質が落ちれば元も子もないからです。「目の前の地主さんに向き合い、喜んでもらう」。それがここまで成長してこれた理由だと思いますし、そのスタンスを目先の売上や利益なんかで揺るがしたりしたくないんです。これから挑戦してみたいのは、「ソフトコンテンツ」の充実。設備や外観を新しくするというのではなく、「新しい貸し方」を模索してみたいなと考えています。

具体的に言うと、アパートの敷地内で地元産の野菜の朝市を定期的に開く、シェアハウスという住み方を提案する、京の町家をコンセプトにした貸家を建てる、大型バイクが趣味という人向けのアパートを企画する…などなどです。この世界に入ってから、多くのオーナーとお付き合いさせていただく中で、このような発想が生まれました。

考えてみれば当然ですが、オーナーは地元をとても愛しています。借りる側はオーナーのことを“お金も土地も有り余っていて、自分たちからも家賃を取る人”みたいなイメージを持っているかもしれませんが、決してそんなことはなくて、先祖伝来の土地を、高い税金を払いながら必死に守っている人も多い。だからこそ、その土地に建てる住宅は地域に誇れるものにしたいし、入居者にも喜んで住んで貰いたいのです。そんなオーナーの思いが入居者の方に伝わるような貸し方ができれば、地域はもっと面白くなると思います。

 

根底にあるのは人の役に立ちたいという思い

この地域で生活をして30年が過ぎようとしています。幼い頃から過ごし、育てて頂いたこの地域に、恩返しをしたいという気持ちは強いですね。もっと深く地元に関わっていきたい。たとえば「クライフ杯」なんていう、サッカー大会や少年野球大会を主催するとか。みんなが大きくなった時に「あんな会社あったな」と思い出してもらえれば最高だと思います。何を夢みたいなことをと、よく笑われますが、私は子どもたちに何かを残せるとするなら、お金や物よりも「ここにずっと住んでいたい」と思えるような住環境だと思っています。だから、仕事内容を型にはめることなく、やりたいことにどんどん挑戦していくつもりです。

スタッフにもよく話すのですが、ベンチャーの良さは周りから「どうせ失敗するだろう」と思われていることだと思うんです。ということは最初から失敗を恐れる必要など無く、どんなことにでも挑戦していいんだと。その問題を解決したいという強い想いがあるなら手を挙げればいい。そしていったん手を挙げたら、全力で走れば良いのです。もうダメだ、これが自分の限界だというところまでやって、それでもまだうまく行かなかった時に、もう一度踏ん張ることができる意地とプライド。それが無い人にはベンチャーの仕事は出来ないと思いますね。そして、そこにこそクライフだから感じる事の出来る成長や仕事のやりがいがあると思っています。

何だかとても熱く語っていますが、じつは私は高校生くらいまではものすごく冷めていたんですよ。感動して泣くなんてありえませんでした。それがこんなふうになったのは、すべて仕事を通しての様々な人との出会いのおかげです。壁にぶつかって悩むたびに、少しずつ殻のようなものがとれて、カッコ悪くていいんやとか、人の役に立てて素直に嬉しいとかいう自分になっていきました。「経営理念」に掲げた行動指針は、私自身がそんな経験の中で、長い時間をかけて気づいていったことに他なりません。そちらもあわせてお読みいただければ嬉しいです。きょうは長いおしゃべりにおつきあいいただいて、有難うございました!