日曜ブログの174回目。
「ホワイト企業すぎて辞める若者がいる」というニュースを見た。
ブラック企業を散々叩いて、ようやくホワイトになったと思ったら、
今度は、「成長できないので辞めます」と言われるとは、もはやコントである。
僕が20代の頃に働いていた時の環境は、
今で言えばまあまあなブラックだったと思う。
同僚は仲間というより、どちらかというと敵。
どれだけ美しく表現してもライバル。
社会に出たら7人の敵がいると思えと言われたが
実際は7人なんて可愛い数ではなかった。
営業成績、給料、役職でどっちが上か。
そんな競争をずっとしていた。
同じ会社なのに、それぞれが個人商店みたいになっていて、
時にはその商店同士で足を引っ張る。
「いや、外の敵と戦えよ。」と当時から思っていたのだけど、
当時は割とそんなものだった。
もちろん、今の会社でそんな環境を作りたいとは全く思わない。
不動産管理の仕事は、一人で完結する仕事ではないから
いがみ合って連携しなくなったら終わりぐらいに思っている。
ただ、ストレスのない会社が一番良いのかと言われると、
それも違うと思っている。
仕事なのだから、しんどい時もある。
出来なかったことを出来るようにしようと思えば、
多少のストレスはかかるし、責任を持てばプレッシャーもある。
新しいことに挑戦すれば失敗もする。
何のストレスもなく、怒られることもなく、失敗することもなく、責任も負わない。
確かに働きやすい。
でも、それで本当に働きがいがあるのかというと、
僕は少し疑問に思う。
「会社は学校じゃない」
という言葉が以前流行ったが全くの同意。
会社は社員に給料を払いながら、仕事を教えている。
よく考えれば何とも不思議な仕組みである。
学校ならこっちがお金を払うのに、
会社ではお金をもらいながら教えてもらう。
しかも最近は、
丁寧に教えてください。
褒めて伸ばしてください。
怒らないでください。
残業は嫌です。
でも成長したいです。
と言われる。
もちろん全部叶えてあげられたら一番いい。
ただ、そこまで全部そろった会社があるなら、
僕も転職したいのでこっそり教えてほしい。
そして最近、もう一つ思うことがある。
「ホワイト」であることを求められすぎると、
中小企業ほど人を雇うこと自体に慎重になる。
中小企業にとって一人の採用は結構デカい。
大手なら、とりあえず採用して適性を見たり、配置転換したりする余力があるけど
中小企業は、「一人採ったけど合いませんでした」が、まあまあ痛い。
だから、
「そこまで雇う側に完璧を求められるなら、
もう採らない方が安全だよね」
となる会社が出てくるのも分からなくはないし
実際そうなっている。
中小企業がよりミニマムな経営に向かえば、
雇用の受け皿は当然小さくなる。
かといって、その人たちを全員大手が吸収してくれるわけでもない。
そんな流れの中で僕が怖いのは、
失業が増えるというより、
働きたい人に対して雇用の入口が少しずつ細くなっていくことだ。
働く人を守ろうとした結果、企業が人を雇わなくなる。
本末転倒でしかない。
とはいえ、
働く人を守らなくていいという話でもない。
人を雇う以上、会社には当然責任がある。
ただ、「守ること」と「何も言わないこと」は違うし、
「優しくすること」と「成長させること」も同じではない。
本当にその人を大切に思うなら、
時には耳の痛いことも言うだろうし、
少し背伸びしないと出来ない仕事を任せることもある。
だから僕は、優しさも厳しさも両方必要だと思っている。
そして、その根っこにあるのは、その人を大切に思っているかどうか。
結局そこにしか辿り着かない。
例えば、
妻が毎日ご飯を作ってくれて、洗濯も掃除もしてくれる。
家に帰ればご飯が置いてある。洗濯物も畳んである。家も綺麗。
でも一切口を聞いてくれないし、目も合わない。
さて、この家庭は「環境が良い」と言えるだろうか。
生活する上での条件は整っている。
でも、それだけで幸せかと言われると全然違うという事が言いたい。
条件だけ良くても、心までホワイトになるわけではないのは
会社も同じ。
休みが多い。
給料も悪くない。
残業も少ない。
でも誰も自分の成長に興味がない。
失敗しても、「別にいいよ」
挑戦しなくても、「無理しなくていいよ」
何をしても当たり障りなく接してくれる。
それは一見優しいように見えるけど、
単に腫れ物に触らないようにしているだけかもしれない。
逆に、一見厳しく見える会社でも、
「今はここを乗り越えた方がいい」
「ここは逃げずにやってみよう」
「失敗しても最後は俺が責任を取るから」
と言ってくれる環境がある。
当然しんどい時もあるだろうけど、
それが大切にされていないということにはならない。
うちの会社では、リーダーに求める役割の一つとして、
「仲間の成長をプロデュースすること」
というものがあり
僕はこの言葉を結構大事にしている。
その人が次のステージに行くために、何を経験した方がいいのか。
どんな仕事を任せるのか。どこまで自分で考えてもらうのか。いつ助けるのか。
場合によっては、本人がやりたくない仕事を任せることもあるだろう。
でも、今出来る仕事だけをずっと与えていたら、本人は楽でも成長は止まる。
逆に、出来もしないことをいきなり丸投げして、「成長のため」と言うのも違う。
それはプロデュースではなく、ほぼ無茶振りでしかない。
そして、もう一つ思うことがある。
結局、極端な話、死ぬところまで含めて考えれば、
辞めない社員なんて一人もいない。
定年もある。転職もある。独立する人もいる。家庭の事情で辞める人もいる。
人はいつか必ず、その会社を離れる。
そう考えると、「どうしたら辞めないか」ばかりを考えたり、
必要以上に社員から好かれようとしたりするのは、ネガティブな発想だと思っている。
もちろん、辞めてもらいたいわけではない。
一緒に働けるなら長く働いてほしい。
でも、辞めないように囲い込むことと、大切にすることは違う。
大事なのは、この会社にいる間にどれだけ成長出来たか。
一緒にどれだけ面白い仕事が出来たか。
ここで働いて良かったと思ってもらえるかで
その結果として長く一緒に働けたら、それが一番いい。
働きやすい会社と、働きがいのある会社は違う。
もちろん両方あれば一番いい。
休みも多い。給料もいい。人間関係もいい。
仕事も面白い。成長も出来る。上司も優しい。責任も重くない。会社も儲かっている。
でも現実には、どこか何かが足りない。
そして足りない何かを得ようとした時には必ずストレスはかかる。
筋トレと同じで、筋肉に一切負荷をかけずに筋肉を大きくするのは難しい。
成長痛は避けて通れない。
ただ、重すぎるストレスをかければ壊れる。
だから会社が考えないといけないのは、
ストレスをゼロにすることではなく、
どんなストレスをどのくらいかけるか。
その為にも無駄なストレスがないかは気にした方がいい。
社内の人間関係で毎日消耗する。
誰かの顔色を伺う。足を引っ張られる。陰口や派閥に巻き込まれる。
そんなストレスは極力なくした方がいい。
何も生まないからだ。
一方で、難しい仕事を任される。自分よりレベルの高い人と仕事をする。
今まで出来なかったことに挑戦する。責任を持つ。
そういうストレスは、
後になって自分の力になることがある。
同じ「疲れる」でも後味が違うのだ。
社内で消耗した一日は、「ああ、今日も疲れた」と疲労感しかないが、
挑戦して消耗した一日は、「疲れたけど、ちょっと出来るようになったな」と心地よい達成感があり、
この違いは大きい。
だからこそ、無駄なストレス、特に社内での人間関係は
エアドッグになったつもりで正常化するように日頃から気にしている。
楽だけど成長しない会社でもなく、
成長するけど壊れる会社でもない。
ちゃんと挑戦出来て、ちゃんと守ってもらえる。
そんな会社にするために。
そして、会社をブラックかホワイトかの二色だけで見るのも、
そろそろ違うんじゃないかと思っている。
会社には会社としての色がある。
理念もあるし、大切にしたい価値観もある。
誰かや何かに言われて、
そこまで真っ白にする必要はない。
とはいえ、経営者が隅から隅まで自分の色で塗りつぶしてしまったら、
そこで働く人は窮屈になる。
経営者がやるべきなのは、会社として大切にする色を示した上で、
社員一人ひとりが自分の色を足せる余白を残しておくことなんじゃないかと思う。
そして社員側も、「この会社はブラックだ」「もっとホワイトな会社があるはずだ」
と会社の色を判定するだけではなく、自分もその会社の色を作っている一人だという意識は持った方がいい。
上司との関係も、仲間との関係も、仕事の面白さも、自分から変えられる部分は案外ある。
もちろん、自分一人ではどうにもならない環境まで我慢する必要はない。
社員は色を足す。
経営者は、その色を足せる余白を作る。
いろんな色が混ざりながら、その会社らしい色になっていく。
そんな会社が理想のイメージで、
苦楽を共にして、最後は笑えるように乗り越えていける仲間が人生の宝であり、
仕事を通じてそんな仲間と出会って欲しいと思っている。
……とまとめたところで、
お腹が空いてきた。
今日は日曜日だ。
ご褒美のどら焼きを食べても良い日だ。
楽しみすぎる。
週に1回なんてストイックですねとか言われるがそんなことはない。
我慢したからこその感動があるから週1回にしているだけなのだ。
うーむ、これもそうか。
ブラックか、ホワイトではなく、
僕の好きな色だ。
今日はこのへんで。
ではでは。
【今週のQ&A】
Q.今の会社に不満があります。転職した方がいいでしょうか?
A.もちろん、本当に無理なら転職は全然アリだと思う。
ただ、「もっと良い会社があるはず」と転職を繰り返して
転職回数が増えたり、短期離職が続いたりすることで、
採用する側も「また辞めるんじゃないか」と慎重になるのは現実としてある。
それに、完璧な会社なんてどこにもない。
だから辞める前に「この会社を良くするために、自分から出来ることはないか」
は考えてみた方がいい。
それでもダメなら転職すればいい。
青い鳥を探し続けるより、自分で少し青くしてみる。
その経験は、次の会社へ行ったとしても無駄にはならないと思う。
