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「自律は型から始まる」について

日曜ブログの160回目。

いきなり本題。
「自律は型から始まる」について。

提案書や報告を見ていて、ふと引っかかることがあります。

レイアウトはきれい。
文章も読みやすい。
誤字もない。

でも、読み終わったあとに、「で、結局どうしたいんやろう?」
という違和感が残ることがあります。

たとえば、「空室対策のために募集条件を見直しましょう」という提案書があるとします。

市場調査もある。
近隣物件の家賃相場もある。
写真やグラフもきれいに整理されている。

でも肝心の、

「家賃をどう設定するのか」
「初期費用をどう変えるのか」
「年間収支はどう変わるのか」
「担当者として何を推奨するのか」

が書かれていない。

こういうデータが羅列されているだけの資料を見ると、
性格の悪い僕はこう受け取ってしまいます。

「私はきれいな資料を作りましたので、あとはそちらで判断してください」

性格悪くてすみません(笑)
でも、性格悪い視点で先に身内でフィルターをかけることも必要なのです。

見やすい資料、分かりやすい資料、誤字のない資料は大切です。
でも、オーナー様が求めているのは、きれいな資料そのものではありません。

判断できる材料です。

「結局いくらかかるのか」
「他の選択肢はあるのか」
「現場では誰が、いつ、どう動くのか」
「リスクは何か」
「担当者として、どれを推奨するのか」

ここがないと、資料を受け取った側がまた一から考えないといけません。

こういう状態が、僕は一番苦手です。
そしてこの現象を、僕は「スカスカ」な状態と呼んでいます。

ちなみに、この「スカスカ」にはアレルギーレベルで反応します。
気を付けてください(笑)

これは提案書だけの話ではなく、報告でも、企画でも、相談でも同じ。

たとえば、

「オーナー様から設備交換の相談がありました」

という報告が来る。

そこで、

「では設備交換の見積もりを取りますね」

だけで終わってしまうのは、視野が狭い。狭すぎる。

交換費用はいくらなのか。
修理で済む可能性はないのか。
入居者様への影響はあるのか。
交換した場合、物件価値や募集力にどう影響するのか。
担当者として交換を勧めるのか。

そこまで見えて、初めて判断ができます。

10年ほど前の僕なら、こういうものを見ると心の中で思っていました。

「なんで、ここまで考えられへんのやろうか」
「これくらい、言わんでも分かるやろ」
「結局、自分で直した方が早いな」

そして実際に、足りない部分を書き足して、直して、仕上げてしまうわけです。

おや?
気付けば最後には、ほぼ自分が作った提案書になっているぞってね。

一見、責任感があるように見えます。
短期的には、お客様にも迷惑をかけずに済むでしょう。

でも長期的には、問題の繰り延べにしかなりませんし、
自分で仕事にトドメを刺すことが出来ない社員を量産してしまう事になります。

ただ、厄介なのは、本人がそれを良いことだと思っているところです。

「最後は自分が責任を持っている」
「品質を守っている」
「会社のためにやっている」

言い方はいくらでも美しくできます。

でも実際には、詰めきれていない提案が毎回上がってくる。
そして毎回赤ペン先生になって、なんとか形にする。

この流れを何度も繰り返しているうちに、

「最後は社長が仕上げてくれる」
「細かいところは社長が考えてくれる」

という空気ができあがるわけです。

そう、かつての僕は、自分で仕事を増やして、忙しくなってしまう仕組みを
一生懸命作っていたのです。

なんとも皮肉な話。
いや、一人芝居もいいところです(笑)


問題は社員ではなく、自分だったのです。
社員の一生懸命を疑ってはいません、そんな社員は採用していません。

提案の中身が薄く見えたのは、
「どう考えればいいのか」をこちらが渡せていなかったこと、
会社としての基準を、十分に言語化できていなかったのが原因です。

頭の中にはある。
でも、外には出していない。
つまり、脳内だけに保存された極秘マニュアルがある。
そんなもの、誰が読めるかいという話です。

それなのに、

「これくらい分かるやろう」
「普通はここまで考えるやろう」
「プロなら当然だ」
「分からんなら聞いてくればいい」

と思っていた。

これは完全に甘えですね。

もっと言えば、

「自分は基準を言語化できていません」

と叫んでいるのと同じです。

ダサいですね。
分かるかな?
過去の自分よ(笑)

ここで大事なのが、「自立」と「自律」の違いです。

「自立」とは、人に頼らず仕事を進められること。
ただ、会社として本当に目指したいのは、もう一歩先の「自律」です。

自律とは、会社の目的や基準に照らして、
自分で判断し、結果につながる行動ができること。

一人で提案書を作れるだけなら、自立かもしれません。

でも、オーナー様にとって本当に良い判断材料になっているか。
物件の収益改善につながるか。
現場で実行できる内容か。
リスクまで見えているか。
担当者としての意思があるか。

そこまで考えて提案できる状態が、自律だと思うのです。

そして、自律は「好きにやっていいよ」では育ちません。
最初に必要なのは、型です。

だから、うちの会社では提案や報告において最低限の型があります。

  1. 現状
  2. 課題
  3. 選択肢
  4. 費用とリスク
  5. 推奨案と次の一手

もちろん、「なんで?」「何のために?」という問いを歓迎し、
事前に説明することはリーダーの仕事です。

型という言葉を使うと、時々「型にはめる」という意味に受け取られることがありますが、
そういうことではありません。

日本には「守破離」という言葉があります。

まずは型を覚える。
次に、その型を破る。
最後に、型から離れて自分のものにする。

型を覚えただけで満足してしまうと、
それはただのコピーになります。

昔、あるオーナー様から、
とある社員のことを小唐津、つまり「コガラツ」と呼ばれたことがあります。

「コガラツはいらん」

とはっきり言われました。

なかなかパンチのある言葉です(笑)

最初に聞いた時は、少し複雑でした。

良かれと思って真似していた社員は落ち込み、
僕が単純に嫌われていたなら申し訳ないなとも思いました(笑)

でも、そういうことではなく、
あれは愛のある大事な指摘でした。

誰かの言い方を真似する。
誰かの考え方をなぞる。
それ自体が悪いわけではなく、最初は真似から入ることも必要。
ただ、そこに自分の考えが乗っていなければ、本当の提案にはならんぞ。

そういう想いを込めた言葉だったのです。

僕自身、自分の真似をしてほしいわけではありません。
ましてや、こんな人を増やしたいなんて思うわけがない。
それは会社にとっても、社会にとっても暑苦しいだけですから。
良い所取りしてくれたらいいなぐらいに思っています。

要は、型を学ぶことと、
型の真似で終わることは違うということは知っておいてほしいのです。

型破りという言葉がありますが、型を学んだからこそ型破りになれる。
型を学ばないまま崩しているだけなら、それは型破りではなく、ただの型無しで、
この違いは、かなり大きい。
何なら真似したものが本物であるほど、コピーの偽物感は強まってしまい嫌悪されます。

そうならないように、基準に足りていなければ、こちらで手直しするのではなく、
足りない項目を伝えて差し戻すようにしています。

自分で考えながら「守破離」を経験することが大事だからです。
(チャッピー使うのは論外です)

これは冷たくするということではありません。
本気で個人の可能性と向き合うなら、社長やリーダーが全部直してしまってはいけません。
子育てと一緒です、子供の夏休みの宿題を親がやったらダメなのです。

上長が毎回100点に仕上げてしまう限り、
社員は「最後は何とかしてくれる」という出し方を覚えてしまい
結果的には社員の成長機会も意欲も奪ってしまいます。

もちろん、これは社員のためだけではありません。

会社としての提案品質を上げるためでもあるし、
オーナー様により良い判断材料を届けるためでもあります。

とまあ、そうは言いつつも、今でも口を出したくなる時はあります。
我慢しすぎて奥歯が砕けそうになることだってあります。

差し戻す前に、赤ペンを持つ手がうずくこともあります。
キャプテン翼くんがサッカーボールが友達だと言っていましたが、
経営者にとっては忍耐が友達です。

そのたびに一呼吸おいて、

「自分が直すべきなのか」
「基準を渡すべきなのか」
「問い返すべきなのか」

を考えるわけですが、
いつも、この言葉が頭をよぎります。

「迷った時はしんどい方を選べ」

というわけで、
自分でやった方が早いという選択肢は消えていってしまいます。

まあでもそれで良かったと思います。
コツコツ積み上がるのは、こっちの選択ですから。

「一人の百歩より、百人の一歩」

会社を強くするというのは、社員を変えることではなく、
まず自身の仕事の仕方を変えること。

レベルの突出したスーパースターを一人輩出するよりも、
全員の当たり前のレベルをコツコツ上げることの方が本質なのです。

まあ、偉そうに言っていますが、
今でも失敗することもあるし、落ち込む時もあります。

でもね、後悔はないんです。
それは今、信じる価値のある良い人たちがいてくれているからです。

毎日楽しそうに働いている社員がいることが、自分にとっての通知表なんでね。
ちょっと手前味噌だけど、自律の道はしっかり見えてきています。

だからこそ、頑張れるわけです。

今日はこのへんで。
ではでは。

今週のQ&Aコーナー

Q. 足りない項目を伝えて差し戻すと、冷たい上司に見えませんか?

A. 見えるかもしれません(笑)
でも、何も言わずにこちらで直してしまう方が、長い目で見ると冷たい上司です。
それをすると、本人には何が足りなかったのかが残りません。


若い頃は「なんて冷たい人なんだ」と思った対応が、
後になって一番ありがたかったと気づくことがあります。
鬼のように見えた対応が、実は仏のような優しさだったみたいなね。


逆に、いつも優しい人が、本当に自分のことを考えてくれていたかというと、そうとも限りません。
優しいのではなく、こちらに深く関わる気がないから厳しくしない事が多いかと。
少なくとも僕は、長く付き合いたい人にしか、厳しいことは言いません。

目先の優しさではなく、本質で人と向き合いたい。
上辺ではなく、本心で人と付き合いたい。
大事なのは、感情で突き返すことではなく、基準で返すこと。
冷たくするのではなく、考える機会を返すこと。

そんな感じでやらせてもらっています。

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この記事を書いた人

株式会社クライフ代表の唐津です。
趣味:料理、ドライブ、読書、プロレス観戦
何事もつい本気になってしまう性分です。
座右の銘:「人生とは何を得るかではなく、何を残すかにある」
仕事でも目先の成果より、後から効いてくる価値を大切にしています。派手さよりも、愚直に日々の行動を積み重ねられる誠実な人が好きです。
人生を一生懸命生きる仲間を増やして笑顔で過ごしたい。その為にも日々を割と真剣に向き合っています。

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